秋 〜 実りの季節の穏やかな日々



秋、線路際はすすきが一帯を埋める。
線路は避けて自生するのだが、
その様がここまで見事だと、
まるですすきのステージに線路が敷かれているよう。

午後、傾いた太陽の光が斜めに入って、
一面ひかり輝くすすきの海をなす。
朝からすっきりとした晴れの日。
眩しく辺りの風景に差し込む午後の光を受けて、
列車が軽やかにすすきの海に入る。
傾いた太陽を背に、秋を実感しているのだろうか。

どちらかというと日本語の似合う羽越だが、

  Shining Road at Uetsu

たまにはこんなキャッチも悪くない。




西目−羽後本荘間にて  2008-10
CanonEOS-1vHS EF70-200mmF2.8L USM
1/500sec f5.6  RVP50(+1)



今年も、もうすぐ育った稲の収穫が始まる。
出羽の名山に見守られて、山の新鮮な水をふんだんに与えられて、
今年もおいしい米ができたことだろう。
夕方の柔らかい光に包まれた、そんなやさしい景色に列車が溶け込んだ。
行き交い見守った稲が無事迎える収穫を、喜んでいるようだ。

遊佐−吹浦間にて  2006-9
CanonEOS-1vHS EF28-70mmF2.8L USM  1/250sec f2.8  RVP(+1)


夏の暑さなお残し、午後の物憂い時間に包まれていた。
そよぐ風に身がなびいて、気だるく揺れる。
それくらい何もない時間が、この場には流れていた。
ぽつんとこの高台に佇むすすき。
この季節だけずっと線路を見下ろすだけだ。
風になびいて、ただ、それだけだ。

小岩川にて  2008-9
CanonEOS-1vHS EF70-200mmF2.8L USM  1/2500sec f2.8  fortia SP(+1)


空が朱く染まる秋の夕暮れ。
日本の秋の夕暮れは、なんとやさしいのだろう。
決して強くなく、苦しくなく、何もかもやさしく照らして見守ってくれるようだ。
田圃をまっすぐ往く線路に陰影を付けて、心に沁みる光景を見せてくれる。
線路は夕空に染められて、秋の帰り道。
たゆたうすすきと一瞬会話をして、列車は今日も家路を急ぐ。

余目−北余目間にて  2009-10
CanonEOS-1D Mark III EF70-200mmF2.8L USM  1/2500sec f2.8 ISO200
RAW DPPにて処理


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