夏〜日本海鳥海・日照残照


5月の連休が過ぎれば、田圃には整然と稲が並ぶ。
ずっと茶色の風景だったところへ水が入って、緑色が添えられて活気付く。
ふもとのそんな風景を、大きな体を横たえた鳥海山が見守る。
空は明るく。山の緑は色合いはっきりと。山腹は雪解けが進む
全てがあおあお。清々しく鮮烈に、あおあお。
羽越の夏はこの絵から始まる。

遊佐−吹浦間にて  2006-5
CanonEOS-1vHS  EF28-70mmF2.8L USM  1/500sec f7.1  fortia SP(+1 1/3)



もうすぐ海!もうすぐ海!
じいちゃんちから海に行く道には、
電車の踏切がある。
本当はここで電車を見るのは楽しいけど、
今日は海に早く着きたくてしょうがない。
早く!早く!


…そんな小さな頃の思い出を、
同じような場所に持っている人は、
少なくないと思う。

向こうに見える海は真っ青!




吹浦−女鹿間にて  2006-8
CanonEOS-1vHS EF28-70mmF2.8L USM
1/40sec f22  fortia SP(+1)



入道雲高い真夏の1コマ。
いい天気に恵まれて、ローカル列車も軽やかに足を進めるよう。
時々、田圃をそよぐ風が心地いい。
暑いけど、こんな日は一日ずっと外で過ごすのも、悪くない。

余目−北余目間にて  2005-8
CanonEOS-1vHS EF28-105mmF3.5-4.5 USM  1/640sec f5.6  fortia SP(+1)


大きく裾を広げる鳥海山と、ふもとの野菜畑と、大きく浮かぶ雲。
今日ここから見える景色は、北海道みたいなおおらかさに包まれていた。
列車は今日も同じく、ここを駆け抜ける。
いつも何かものを言うわけでもないが、今日はどこか口をつぐんでいるようにも感じた。
過ぎる風が、既に涼しい。
もう、暑い夏じゃない。吹く風は、秋の風。
空も、もう夏の色ではなくなっていた。
列車も一緒に去りゆく季節を惜しむ、か…。
「夏の終わり 夏の終わりには…」。
そんな歌を口ずさんで、ここでこの夏の終わりを噛みしめていた。

本楯−南鳥海間にて  2007-8
CanonEOS-1vHS EF28-70mmF2.8L USM  1/125sec f2.8  RDPIII


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