冬 〜 厳しい自然に、決して抗わず


どんなに波が高くても。
どんなに風が強くても。
どんなに雪が強くても。
どんなにそれが厳しく、辛かろうとも。
それでも、我を待つ人のために、今日もこの道を行く。

今川−越後寒川間にて  2002-12
CanonEOS-3 EF70-200mmF2.8L USM  1/250sec f3.2  RDPIII(+2/3)


年の瀬の夕闇迫る黄昏時。
雪がしんしんと降り、あたりを染めてゆく。
「今年も、終わりですね」
雪を突いて走る列車。
一年の有終の美を飾るべく、日頃と変わることなく定時運行に努める。

幕内(信)−藤島間にて  2004-12
CanonEOS-1NHS EF70-200mmF2.8L USM  1/30sec f2.8  RDPIII(+2)


時に目まぐるしく変わる空模様。
気象予報あれど、細かい変化までは判る物ではない。
ほんの30分前までは、100m効くかどうかまで視界の落ちる猛吹雪だったが…。
そう、いくら分厚くどんよりと雲があろうとも、その上には太陽があるのだ。
その30分前には着雪で凄い形相だった701系が、折り返して今度は快調に雪煙を巻き上げてゆく。

酒田−本楯間にて  2001-1
CanonEOS-3 EF50mmF1.4 USM  1/500sec f=auto  RMS(P-1 ISO200)


とうに日も落ち、昼間の暴風も、怖いくらいに静まり返った。
海鳴りも国道の車の音も、かき消されるではなく弱まって、耳には微かにしか届かない。
体は寒いが心は落ち着く、不思議な、ひととき。
暫く、寒さも忘れて何も考えずに、静寂にまかせて、佇んでいた。
そろそろ、下りの列車がやってくる。
「この雰囲気が、フイルム上に残れば」
寒さに温められた、そんな穏やかな心でシャッターを切った、冬の日の夜。

吹浦にて  2002-12
CanonEOS-3 EF50mmF1.4 USM  shutter=auto f1.4  RDPIII(+2)


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