冬 〜 厳しい自然に、決して抗わず


夜を徹して、ひたすら暗く冷たい路をやってきた。
冬の秋田、午前6時過ぎ。
うっすらと明るい、ようやく見えた朝か。
それとも、朝まだ明けやらぬ冷たい夜の延長か。
列車に乗っている人、この列車を動かしている人、あるいは列車自身。
迎える同じ時間にも、それぞれ違う思いがあるのかもしれない。
列車は今日も人の想いを運ぶ。

二古(信)−岩城みなと間にて  2009-2
CanonEOS-1vHS EF70-200mmF2.8L USM  1/80sec f2.8  RDPIII(+1)


雨にぬれる路を照らして。
今日も同じ時間に電車はやってくる。
雪残る夕刻、黒く落ちる寸前のダークブルーに黄色い灯りが踊る。

西目にて  2008-3
CanonEOS-1vHS EF70-200mmF2.8L USM  1/40sec f2.8  RVP(+1)


雲の表情に反して静まる海沿いの町。
午後もだいぶ時間が進んでもうじき暗くなるから、また闇夜に包まれてしまう。
ちょっとゴトゴト音がした。
見れば単に電車が走る音だった。
それくらい、何もなく時間が流れていた。

府屋−鼠ヶ関間にて  2008-1
CanonEOS-1vHS EF28-70mmF2.8L USM  1/1000sec f2.8  RDPIII



冬の日没前のほんのひととき。
あたりをやさしい青色が包み込む時がある。

ブルー・モーメント。

冬だけにしかない、美しい一瞬。
なにもかもを詩的に見せてしまう、
まるで魔法のような不思議な空気。
僕はこの時間が大好きだ。




折渡−羽後亀田間にて  2010-1
CanonEOS-1D Mark III
EF70-200mmF2.8L USM+EXTENDER EF1.4x
1/320sec f4.0  ISO800
RAW DPPにて現像処理


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