冬 〜 厳しい自然に、決して抗わず
猛烈な吹雪の襲来に、田園の小駅は沈黙していた。
一面真っ白になったこの場に、人の姿などあろう筈がない。
辺りには叩きつける風雪の音だけが、ただ響く。
よほど利用が僅少なのだろう、ホーム上の積雪は高さを増すばかりだった。
この時この駅この列車に、乗降客の姿は、なかった。
北余目にて 2005-12
CanonEOS-1vHS EF70-200mmF2.8L USM 1/1600sec f4.0 RDPIII(+1)
常夜灯に照らされた踏切一つ佇む、冷たい闇夜。
田圃も山々も黒に沈み、人も車も往来なく、物音もしない。
踏切の、突然鳴りだす警報と、光る赤いランプだけが、この場で唯一のもの。
列車の通るのは、ほんの数秒。
流れる列車の光の終われば音もランプも止み、戻るのはまた闇夜の静けさ。
折渡−羽後亀田間にて 2006-1
CanonEOS-1vHS EF28-70mmF2.8L USM 1/10sec f2.8 RDPIII(+2)
冬の海に突き刺す日の光は鋭い。
光は烈しく反射し、海面を荒々しくソリッドに映し出す。
雪こそないが、切るような痛さの風も吹き付けて、羽越は既に厳しい真冬を迎えていた。
こんな日でも、列車は海沿いを行かねばならない。
今川−越後寒川間にて 2003-12
CanonEOS-3 EF28-105mmF3.5-4.5 USM shutter=auto f11(Exp.Comp.+2/3) RDPIII
既に渡り鳥を見送り、春の槌音近づいていた3月。
突如、地吹雪が庄内の地を襲う。
みるみるうちに、周囲の景色が白い吹雪の中に飲まれてゆく。
猛攻を受け、列車は足取りも重く、立てる轟音も風にかき消された。
つい先日の暖かい晴れ間が幻のよう。
立春を迎えてなお、羽越に冬の厳しさは続く。
砂越−東酒田間にて 2006-3
CanonEOS-1vHS EF28-70mmF2.8L USM 1/640sec f4.5 RDPIII